2020年東京オリンピック・パラリンピックを目前に政府のインバウンド誘致事業はますます加速し、有名観光地に集中する訪日外国人観光客らをゴールデンルート以外の地域へも誘客するための取り組みとして、観光庁は昨年、「テーマ別観光による地方誘客事業」を発表しました。(一社)全日本社寺観光連盟は15万社寺とも言われる中から久能山東照宮様を始め8つの社寺様と社寺観光地域連携協議会を発足し、「社寺巡礼の旅」をメインテーマとして平成28年度事業は「徳川家康公の足跡をたどる」を申請し、採択されました。平成28年度事業の成果報告会は本年3月17日に東京都内で開催され、社寺観光地域連携協議会も参加・報告し好評をいただきました。成果報告書は、こちらでご覧ください。(「社寺観光 巡礼の旅」事業報告)
社寺ファン獲得を最終目標に
日本固有の文化は社寺にこそ凝縮されており、外国人のみならず多くの日本人にも魅力的な文化が確かにそこには存在しています。本事業においては、外国人をメインターゲットとして外国人ならではの目線で新しい魅力を発掘してもらうことにより、日本人が社寺の魅力を再認識できることを目的としています。
視覚に訴える重要性
インターネットの普及により旅先の情報も個人で容易に入手できるようになった今、個人旅行が主流となり、訪問先を決めるための手段としてインターネットツールは欠かせず、人気観光専門サイトや人気ブロガー等の口コミ、インスタグラム等のSNSと、その選択の範囲も広がっています。それらに共通するのは視覚に訴える映像で、SNSによって新たな観光地が発掘される現象も発生しています。社寺観光地域連携協議会も共同ポータルサイトの構築に取り組み、28年度事業のテーマである徳川家康公のイメージを映像で訴えかけました。
ストーリーは人を魅了し引き寄せる!
”欧米列強に開国を迫られ近代化を目指した明治維新を迎えるまで265年も続いた江戸時代は日本に平和な世と稀有な文化をもたらした。トム・クルーズ主演の「ラストサムライ」でも記憶に新しいが、そのサムライが闊歩する時代・江戸の礎を築いた人物こそが徳川家康公だ。1980年には家康公をモデルとしたドラマがアメリカで大ヒット。最近でも、小説「徳川家康」が中国で200万部以上のベストセラーとなり2008年の「最優秀外国書籍」に選出されるなど、時代と国境を越え愛されている。家康公及び江戸を知るには彼の庇護した社寺仏閣を訪れるほかはない。”
共通パンフレット英語版の導入文です。英語版はネイティブによって解説を加え、徳川家康公を知らない人でも興味がわくよう偉人として紹介することで、そのゆかりの地で体験することが特別なものとなるよう工夫しました。
昨今の観光消費行動調査では訪日外国人の消費行動がモノ消費からコト消費へと変わってきているといいますが、社寺は最上級の「コト」を体験できる場所であり、本事業のモニターツアーでも特別な体験がツアーの満足度を高めたことが分かりました。
多国籍参加者によるモニターツアー催行「家康公の足跡をたどる」
平成29年2月、2泊3日の行程で、愛知県・静岡県内の徳川家康公ゆかりの社寺を中心に、家康公の足跡をたどるモニターツアーを催行しました。
何気ない「おもてなし」に感動!
外国人(アメリカ・フランス・スペイン・ロシア・タイ・マレーシア・台湾)が多数参加し、中にはコスプレイヤーも混ざり、訪問先の皆様に温かく出迎えていただき、ツアーは大変盛り上がりました。また、思いがけない場所に素晴らしいストーリーと景観があることを発見した喜びを味わうとともに、普段体験することのない特別感に感動し、歴史的建築物と取り囲む自然の美しさへ参加者は一様に感嘆の声をあげていました。
【1日目】 徳川美術館→美術館敷地内にて昼食→大樹寺→家康館→岡崎城→龍城神社→八丁味噌蔵(家康公の好物を試食)→夕食
【2日目】 浜松八幡宮→浜松城→昼食→酒蔵体験(『徳川家康』などを試飲)→可睡斎→浮月楼(慶喜公住居跡)にて夕食
【3日目】 駿府城跡公園→臨済寺→語り部カフェ『華』(古民家で家康公の健康食を体験)→久能山東照宮
平成29年度は「修行」をテーマに
社寺観光地域連携協議会は、平成29年度の「社寺巡礼の旅」事業として、「日本人のこころ」の根源の一つである「修行」を取り上げます。日本の国土はその約四分の三が山地であり、古くから山岳信仰が発展し、日本独自の修験道が生まれました。昨今は、世界中に愛好家がいる登山やブームになっているパワースポット巡り等と通じるものがあって山岳信仰は注目を浴びてきております。さらには、本物の体験を求めて人里離れた社寺に修行に訪れる外国人も年々増加しています。
本事業は、旅行者が修行の道を歩くことで社寺の持つ歴史文化の奥深さに触れ、修行の一端でも体験することにより得られる達成感でファンを獲得し、リピーターの増加へとつなげることを目標としています。
尚、本事業へご賛同いただける社寺の皆様には是非ともご参加いただければ幸いです。お問い合わせにつきましては、(一社)全日本社寺観光連盟までお願いいたします。